筋肉痛がおこるしくみはさまざまな説があるが、そのなかで今最も有力なのが、筋肉の損傷によるものである。筋肉の収縮には、縮ませて力を発揮するコンセントリックな筋収縮と、伸ばして力を発揮するエキセントリックな筋収縮とがある。筋肉痛に大きく影響するのはエキセントリックな筋収縮の方であり、この筋収縮は、体の筋収縮のなかで最も大きな力を発揮するとされている。この筋収縮により、筋肉に強い負担がかかり、筋線維そのものや筋や腱の結合組織が損傷し、それによって筋肉痛がおこる。
この筋肉痛の原因として、これまで乳酸の蓄積に関係があるとされていたのだが、最近になってあまり関係はないのではないかと考えられるようになってきた。乳酸というのは体を動かしたりすることによってグリコーゲンやブドウ糖などのエネルギーの消費の際に発生する物質である。乳酸が多く発生すると代謝が悪くなり、細胞が栄養や酸素を取り込みづらくなるので、血液の循環が悪くなり疲労感がでる。日常生活上においても乳酸は発生するのだが、血液が回収して、体外へ排出できる程度の量である。
これまで考えられていた、乳酸が筋肉痛の原因であるという考えはどういうことなのか。急な運動や激しい運動後には、血液が回収しきれないほどの乳酸が発生するので、乳酸が血液中に残る。それが蓄積されて筋肉がかたくなってうまく伸縮ができなくなり、筋肉痛の症状がでてくると考えられた。乳酸が筋肉に溜まり神経を刺激するのが原因だという説もある。これが今まで乳酸による筋肉痛がおこるしくみとされていたが、上にも述べたように最近はそうではないという考えになってきている。なぜなら、運動後の乳酸は体内で消費されて筋肉中に蓄積されていないことがわかってきたからである。例えば、運動してから数日後に筋肉痛になる人がいるが、運動後数日もたつと乳酸は筋肉中に残ってないはずである。だから、筋肉痛に乳酸が関係する可能性は極めて低いと考えられようになった。けれども、この考えもまだ全て解明されたわけではないので、乳酸との関係が完全にないとはいいきれない。
誰もが経験したであろう筋肉痛にならない方法はあるのだろうか。
今最も有力な説が筋繊維の損傷が原因だと言われているので、筋繊維を痛めたり負担をかけすぎないことが重要である。筋肉痛なるべく抑えるための予防策として、運動前の十分な準備運動とストレッチである。ただし、いきなりのストレッチは筋肉に負担をかけたり損傷させることがあるから、体が冷えた状態でいきなりストレッチをしないことがポイントである。
ストレッチは、軽い準備運動のあとで行い、そしてその後更に十分な準備運動をすることが、筋肉痛や怪我を防ぐのに効果的だ。さらに運動後のクールダウンとストレッチも非常に重要である。
運動前後のストレッチで気をつけなければならないことは、体に痛みを感じるほどのストレッチはかえって筋肉を硬直させてしまうので、正しいストレッチとウォームアップ、クールダウンを心がけることである。
